ハッピーメール、世界の果て
私は30歳だ。
これまで女性経験はおろか、女性と付き合ったことすらない。
親の仕事の都合で日本と外国を転々とする幼少期を送った私は、いつの間にか、根暗で人見知りなオタクとなっていた。
しかし性欲はある。人類が誕生してからおよそ700万年近く経ち、科学技術が発達してもなお逃れられなかった、自分の下腹部に生えた肉棒をしごくと気持ちがいい、という欲望が。
これまでPairsとかいうマッチングアプリを使ったことはあるものの、Pairsに登録されている女性は真剣に結婚まで見据えて利用されている方が多く、結婚願望が希薄で収入も低い私にはしんどかった。
Tinderとかいう、Pairsよりいかがわしく、なおかつ男性会員でも無料で利用できるサービスもつかってみたものの、女性がいい加減すぎるのか、私に魅力がなさすぎるのか、すぐにメッセージが途絶えてしまう。
そうした中で辿り着いたのが、ハッピーメールだった。
有名なサービスであり、今更説明することもないのかもしれないが、それはPairsよりも「出会う」ことに重きをおいたサービスであり、ユーザーも「出会う」ことを前提としている方が多いため、Pairsのようなまどろっこしい、面接のような虚しいメッセージのラリーが必要ない。
また「掲示板」というコーナーでは、あらゆる種類の「出会いの場」が設けられている。
カラオケに行きませんか、飲みに行きませんか、ボートレースをやりにいきませんか…そういった誘いがつらなる「ピュア掲示板」の他に、「アダルト掲示板」があり、そこは正に人類が700万年かけても逃れられない欲望を強く刺激するような誘惑に満ちていた。欲望と欲望が交換される市場だった。
ここは「世界の果て」だ。
30年の人生の、欲望を巡る葛藤の果てにたどり着いた場所がここであったことに、虚しい気持ちがこみあげないこともないが、しかしようやく、結婚願望もなく、女性とデートしている自分も想像できないが、人並みに欲望だけはある、腐った自分が、自分のままで利用できそうなサービスを見つけたという安堵はあった。その先につづく闇も、そのときは知らず、私はハピメの門をくぐり、扉を開いた。
みんなもハッピーメールに登録して、ガンガン恋しちゃお♡
せ~の! \\ ハッピーメール、最高~~~~!!!!// (18禁だよ♡)